
バンド・オブ・ブラザースは戦争のリアルさを実感できる作品
戦争を知らない私たちにとって、戦争とは何か?を問いただすものとして、沢山の人達が書き記した著作があります。
第二次世界大戦で施行された「ノルマンディー上陸作戦」を主体とした、スティーブン・アンブローズ原作の本作品もその一つですね。
IMDbではテレビドラマシリーズのジャンルで、250作品中4位、レイティングは9.4という最高評価作品です。
奇しくもこの作戦が実行された最中に、沖縄が戦地となり沢山の日本人犠牲者が出たことは言うまでもありませんでした。
戦争を経験していない人にとっては、とても見ごたえのある面白い戦争ドラマとして印象に残るのではないでしょうか。かく言う筆者もその一人ですが、観終わった後に暫くの間何とも言えない気分になった記憶があります。
戦争では敵国の人間は皆怪物にしか見えなくなっているのかもしれません。だから殺しても悔いることはない。
しかし、ふたを開ければ皆家族のいる一人の人間なのです。それに気づいたときに正気に戻った兵士は心を病んでしまいます。更に、目の前で悲惨な死を遂げてしまう戦友たちが。そんな耐えがたい苦痛を味わうのが戦争ではないでしょうか。
本作品では、アメリカの空挺師団の中の最前線に立つ「E中隊」の詳細を克明に描いています。エピソードごとのストーリーの冒頭と終盤では、実際にE中隊で活躍して生き残った兵士たちが、体験談を涙ながらに語るシーンがあり、この作品が本物であることを物語っています。


バンド・オブ・ブラザースは兵士の訓練から始まり、落下傘部隊が決死の覚悟で降下するノルマンディー上陸作戦を経て、カランタン攻撃、オランダに降下するマーケットガーデン作戦、バストーニュでの死闘、そしてドイツ強制収容所発見、ヒトラーの山荘「イーグルズ・ネスト」占領に至るまでを刻々と描いています。
第1話 翼のために “Currahee”
1942年当時のアメリカでは、第二次世界大戦の志願兵となることが男のポリシーのような風潮が漂っていました。
ジョージア州にあるトコア基地にも空挺部隊の訓練を受けるために、続々と志願兵が訪れます。特にハーバート・ソベル大尉の指揮しているE中隊(通称Easy Company)では、基地で一番訓練が厳しいとされていました。ソベル大尉にはとても気まぐれで意地悪な一面があり、昼からは講習の訓練を行うと決めながら気持ちが変わり、昼食後すぐに心臓破りと言われる「カラヒー山」までの業軍を強行。そんな厳しさに耐えられなくて、中にはやめていく志願兵もいるのでした。
訓練兵が失敗すると、必ずまとめ役のディック・ウィンターズ中尉がお叱りを受けることに。そんな中、兵士たちから信頼の厚いウィンターズ中尉に嫉妬したソベル大尉は、些細なことで難癖をつけ外出禁止にします。
納得のいかない軍曹たちは反乱を起こし、懲罰を受けることになりますが・・・
更に、ウィンターズ中尉もソベル大尉の言い分に納得がいかず、軍法会議をかけるよう要請します。


第2話 ノルマンディ降下作戦 “Day of Days”
D-Day決行の日、E中隊は何千人という他の中隊や連合軍の空挺部隊と共に、ノルマンディーの適地に上陸します。しかし、降下の際の強い衝撃のせいで背負っていた必需品は殆どが飛ばされてしまいます。
更に、風に煽られて予定していた着地点から遠く離れた場所に着地してしまったのでした。そのため、E中退のメンバーはバラバラになり、ウィンターズ中尉が降り立った地点で出会ったのは、A中隊の無線兵ジョン・ホール二等兵だけでした。
2人だけで合流地点を探すことに。その後、ガルニア達一行と合流し無事に陣地に辿り着きます。しかし、E中隊の隊長が行方不明のため、ウィンターズ中尉が代わって指揮を執ることになり、陸軍が上陸する浜辺を占拠しているドイツ軍の砲兵隊を一掃することを命じられ、ウィンターズは今までで類を見ない戦略で、短時間のうちに成功させます。
その時のウィンターズ中尉が執った戦略は、後のアメリカ陸軍の教本にもなり、E中隊のメンバーはブロンズスターとシルバースター、そして冬の殊勲十字章を授与されます。
マラーキー軍曹が合流地点で出会ったドイツ軍の捕虜の中に、故郷のオレゴンの同窓生がいました。マラーキーは懐かしさのあまり、その兵士と話し込んでしまい注意を受けることに。
その兵士は、アメリカで育ったが生まれがドイツのため、ドイツ軍に入隊したと言います。その後、マラーキーが立ち去った後に銃撃の音が鳴り響き、ドイツ軍の捕虜たちは銃殺されてしまいます。
一歩間違えば、懐かしき友人も敵となる・・・その時のマラーキー軍曹の表情が頭から離れません。
第3話 カランタン攻略 “Carentan”
E中隊が次に命じられた任務は、ドイツ軍が占領しているカランタンの街を攻略することでした。街のあちこちにドイツ兵が立てこもり、アメリカ兵たちを迎え撃ちます。
ドイツ軍の砲兵や戦車が攻撃しやすい位置を陣取っているため、どう考えてもドイツ軍に有利な戦況。そのため多くの犠牲者を出してしまうことに。
中でもアルバート・プライス二等兵は、恐怖のあまりヒステリー発作を起こしてしまい、一時的に目が見えなくなってしまいます。ウィンターズやスピアーズ大尉の励ましで、何とか正気に戻り前線に復帰しますが・・・
ウィンターズ中尉は銃弾が脚に命中して負傷。更にリプトン少尉は股間に銃弾があたり負傷し、他のE中隊の兵士たちも負傷することに。
狙撃兵のシフティの活躍もあり、結局36日間の攻防の末、E中隊はカランタンを攻略することに成功します。
第4話 補充兵 “Replacements”
E中隊が次に命じられた戦地はオランダ。ドイツ国内に侵攻するために障害となる複数の河川にかかる橋を奪取するために、空挺部隊がアイントホーフェンの近くにパラシュートで降下し、任務を遂行することでした。
カランタン攻撃でかなりの兵士を失ったため、多くの補充兵が初めての戦争に参加します。ここで大変になるのが、先輩兵士たちでした。戦闘に不慣れな補充兵のことを気にかけながら戦うことは、かなりのストレスになるはずです。
特に頼られたのはE中隊の中でもトップの兵士であるランドルマン軍曹(通称ブル)です。その後E中隊もアイントホーフェンに上陸し、街の人達に熱烈な歓迎を受けることに。
しかし浮かれているのも束の間、マーケットガーデン作戦ではドイツ兵が激しく抵抗したためかなりの苦戦を強いられます。更に、ブルが面倒を見ていた補充兵の一人が頭を撃たれて死んでしまいます。
因みに、その兵士役がなんとジェームス・マカヴォイなんですね。この時は本当にちょい役でした。貴重な場面が見られますよ。
戦況がドイツ軍に有利になったため、E中隊は撤退することに。しかしブルは周りをドイツ兵で囲まれてしまい、土管の中に身を隠すしか逃げ道はなかったのです。
その後状況を見計らって農家の納屋に逃げ込むのですが・・・
第5話 岐路 “Crossroads”
マーケットガーデンの任務を遂行させたウィンターズは大隊の隊長に就任し、E中隊をムース・ヘイリガー中尉に引き継ぐこととなります。
ヘイリガー着任後初の任務は、敵に包囲されたアーネム村にいるイギリス兵を救出する作戦でした。ウィンターズはE中隊から離れたことで、任務が成功するか心配しますが、親友のニクソン大尉から休息をとることを薦められ、パリに行くことに。
しかしヘイリガーは、新米の兵士に敵と誤って撃たれてしまいます。そのため、ヘイリガーは病院送りとなり、代わりにE中隊を率いるのは、戦争経験のない士官学校出のダイク中尉でした。
パリで電車に乗っていたウィンターズは、乗車していた若い男性を見つめながら、戦闘で射殺した若いドイツ兵を思い出します。その兵士の最期の顔がどうしても頭から離れなかったのでした。
その後E中隊は、ドイツ兵から街を守るために苦戦を強いられているバスト―ニュの森を死守するよう命令が下ります。雪の降る中E中隊のメンバーがバスト―ニュに向かいますが、それとは反対に、バスト―ニュの森から疲弊した多くの兵士たちが戻って来るのでした。
今までの戦いで物資が底をつき弾薬も少なくなっている現状。何人かの兵士は戻る兵士たちに残っている弾薬をせがむのでした。
果たしてこの任務は、E中隊のメンバーにどんな影響を与えるのでしょう。
このエピソードは、俳優のトム・ハンクスが監督ですが、なんと彼がどこかの場面でカメオ出演しているのです。遊び心もあったようですね。こちらがその場面です。
第6話 衛生兵 “Bastogne”
E中隊がバスト―ニュ周辺の戦線をドイツから死守する任務に就いたのは、1944年のクリスマスの季節で、厳寒の中食料も底をつき防寒着もなく、兵士たちは凍傷に罹ったり風邪で熱を出したりと体調は最悪でした。
そんな中、衛生兵のユージーン・ロウは近隣の街まで包帯や薬品を調達に向かいます。救護所でボランティアをしているレニーという看護師と知り合い、ユージーンが唯一心癒される存在となりました。
しかし、救護所に運ばれる負傷者は後を絶たず、命を救えるのはごくわずか。そんな惨状を目の当たりにし、物資も底つき状態になっていく中、救護所が爆撃のターゲットとなってしまいます。
ユージーンは茫然自失の状態でバスト―ニュの森に戻ります。精神的に限界に達していたのでした。
更に、E中隊を指揮するはずのダイク中尉は自分の塹壕から殆ど出ることなく、兵士に指示を与えなければならない大事な時は、どこかに逃げて行ってしまうという指揮官不在の状態で、代わりにリプトン中尉が代行を務めていた状況だったのです。
そんなE中隊の士気は落ちて行くばかりでした。
第7話 雪原の死闘 “The Breaking Point”
極寒のアルデンヌの森では、E中隊の懸命な死守が続いています。しかし時折ドイツ軍からの猛攻撃を受け、その度に兵士の何人かは負傷や戦死をしてしまうのでした。
ラズと仲の良いスキップ(マック軍曹)も敵の弾が塹壕に命中し、ラズの目の前で死んでしまいます。中隊一明るいラズの表情も死んだように暗くなるばかり。フープラ伍長に至っては、ドイツ士官から奪ったルガーをポケットに入れていたところ暴発してしまい、太腿の大動脈を損傷して亡くなるという大失態を犯すことに。
ガルニアとジョー・トイも砲撃により脚を失ってしまうという重傷を負ってしまいます。親友のコンプトン中尉は2人が爆撃を受けたのを目の当たりにし、精神が崩壊してしまいます。そのため、主要な3人も前線から退いてしまうことに。
その後アルデンヌの先にある、ドイツ軍のいるフォイの町を占領するよう、E中隊に命令が下ります。彼らは頼りないダイク中尉の指揮の元攻撃を開始しますが、恐怖で動けず指令も出せない状態のダイク中尉に翻弄されて、不必要な死傷者を出してしまうことに。
見るに見かねたウィンターズは自ら指揮を執りたい心を抑えて、D中隊の指揮官であるロナルド・スピアーズ大尉に代行を任せます。彼は、ドイツ兵たちの真っ只中を走り抜けて敵側に行くと・・・・・



第8話 捕虜を捉えろ “The Last Patrol”
バスト―ニュでの苦難を乗り越え、E中隊の生き残ったメンバーはフランスのストラスブールの北35kmに位置するアグノーという町に駐留していました。
マーケットガーデンで負傷したウェブスターは、バスト―ニュには参戦せずアグノーで復帰します。しかし、E中隊のメンバーが激減していることと、憔悴しきった面々に戸惑いを隠すことが出来ませんでした。メンバーも「今頃来て」というような冷たい目でウェブスターを迎えるのでした。
そこに士官学校を卒業したばかりのヘンリー・ジョーンズ中尉が経験を積むために参加します。
そんな中シンク大佐は、宣伝のためにライン川を挟んだ向こう側にいるドイツ兵を、捕虜として捉えるよう命令します。その指揮を執るのがマラーキー軍曹となり、マラーキーは意気消沈します。
ウェブスターは何とかマラーキーを休ませようと自ら捕獲作戦に志願します。そしてヘンリー・ジョーンズ中尉も志願することに。
無事捕虜を連れて戻るのですが、1人の兵士が深い傷を負って死んでしまいます。意味のない死にみんなは憤りを隠せませんでした。
シンク大佐は味をしめて2度目の作戦を決行せよと命じるのですが・・・
第9話 なぜ戦うのか “Why We Fight”
E中隊はドイツまで侵攻し、数千人のドイツ兵が降伏して終戦が近い状況でした。戦闘をする機会も少なくなって、各々がこれまでの事を振り返る時間が増えてきました。
ニクソンはラインバッカ―作戦から戻り、失敗だったとウィンターズに告げます。彼は連隊から大隊の諜報員に降格されて機嫌が悪く、大量に酒を飲んでいる状態で、既にアルコール中毒に陥っているようです。
ある日、ペルコンテ、ブル、ラズと新任兵士たちを含めたメンバーで偵察していると、林からいきなり開けた土地があり、柵の中に何千人というユダヤ人が収容されている収容所を発見。痩せこけて歩くのもやっとの人間や、既に死んでいる者も多くいたのです。
ドイツ軍は敗戦とわかると、1人でも多くのユダヤ人を殺してこの土地を離れたようでした。
予想もしなかった光景にウィンターズやニクソンらも言葉を失います。その後、収容者達に食事と水を与えて解放し保護します。
その後E中隊は、ヒトラーの死を受けて彼の山荘「ベルヒテスガーデン」に行くよう命じられます。
第10話 戦いの後で “Points”
終戦間近を迎えていたオーストラリアで、チャールズEグラント軍曹が酔いつぶれていた補充兵に頭を撃たれてしまいます。スピアーズがドイツの医師を探してきて、一命を取り留めることに。後遺症は残りましたが、後に101空挺師団第506歩兵連隊の隊長となっています。
1945年5月、E中隊はヒトラーの山荘であるベルヒテスガーデンに連合軍として占拠しました。収集家のスピアーズは、建物中を漁って貴重な品々を集めては故郷に送っていたのです。
しかし、1つだけ手に入らなかったものが。それは、ヒトラーのアルバムでした。彼よりも先にE中隊の兵士アルトン・モアが手に入れており、スピアーズが問い詰めても知らぬ存ぜぬで通したと言われています。
同年7月にドイツ軍は降伏し、終戦を迎えることになりました。E中隊のその後は故郷に帰るもの、そのまま太平洋戦争に移籍する者など、様々な進路をとりました。
その後9月に日本軍が無条件降伏しています。
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