クーリエ:最高機密の運び屋~キューバ危機を命がけで回避した男たち

クーリエ:最高機密の運び屋
The Courier (2020) Merab Ninidze and Benedict Cumberbatch in The Courier (2020)

クーリエ:最高機密の運び屋の概要

“クーリエ”とは大使館や公使館の相互間で公文書などを運搬する業務という意味合いです。

1962年10月、ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが発覚。アメリカは抗議する構えに出て、戦艦と戦闘機でキューバを海上封鎖して対抗します。

当時のアメリカ大統領J.F. ケネディは、キューバからの攻撃があった場合は、ソ連によるものであるとして報復に出ると迫る。正に一触即発の事態に陥った両国。

その危機を救ったのが政府の人間でもなく軍事経験もない、普通のセールスマンである実在した人物のグレヴィル・ウィンでした。

本作品はそんな普通の男と、国に背いたGRUのメンバーであるオレグ・ペンコフスキーの、命を懸けて核戦争を回避させた葛藤や決断、友情など、キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた実在するストーリーを描いた究極のスパイサスペンス映画です。

クーリエ:最高機密の運び屋のあらすじ

1960年代のソビエト連邦東西冷戦下、東欧諸国に工業製品を卸すセールスマンのグレヴィル・ウィンは、イギリスの秘密情報部M16の依頼により、モスクワで情報を運ぶスパイの任務を任されることとなる。

表向きは販路拡大と称し、モスクワに赴いてロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の大佐で内通者のオレグ・ペンコフスキーから、情報を受け取って西側に持ち帰るというもの。あまりにも危険な任務で家族にも危険が及ぶこともあり、当初はこの任務を拒否するが、ペンコフスキーから「世界平和のため決断してくれ」と説得されて渋々受ける。

しかし、何度もモスクワを往来しているうちに、やがてソ連側から疑いをもたれることに・・・・・

ベネディクト・カンバーバッチが本作品で10キロの減量!

ストーリー後半でカンバーバッチ扮するグレヴィル・ウィンは、スパイであることがバレ、1962年10月にソ連の収容所に収監されてしまいます。トイレはバケツに、得体の知れないドロドロした物体が1日1回出される食事。そして毎日続く容赦ない尋問。

精神的にも肉体的にも虐待され、この状況が続いた結果ドクロのような面立ちに。よく生きていたと思えるほどでした。釈放されたのは1964年4月、なんと1年半以上もの間劣悪で過酷な状況に置かれていたのです。

少ないシーンではあるものの、カンバーバッチはリアルさを出すために、頭を丸刈りにして10キロのダイエットを施したという事。映像を観た時は本当にびっくり。「体は大丈夫なの?」と心配になってしまうほどでした。

これほどまでにダイエットした理由を、カンバーバッチ自身はこう語っています。

「映画ではたった数シーンにしかならないのにと思うでしょうが、当時のグレヴィル・ウィン氏の写真を見ると、彼が人生のはるかに長い期間、耐え忍んできた真実を尊重する以外に選択肢はないと思ったんです」
引用元:screenonline

グレヴィル・ウィン氏本人の変わり果てた姿
グレヴィル・ウィン氏本人の変わり果てた姿

元々やせ型のカンバーバッチですが、本作品ではグレヴィル・ウィン氏に近づけようと恰幅の良い中年紳士を演じるために、撮影当初は増量したとみられ、その後の減量はかなり苦しい挑戦となったようです。

カンバーバッチ曰く、“健康的なダイエットを心掛けたが、筋肉まで削ぎ落さなければならない減量によって意識が混濁し脱水症状になって、精神的にも無気力になりかなり傷つきやすくなった”とも語っています。

その激やせ姿の動画がこちらです。

ベネディクト・カンバーバッチ
ベネディクト・カンバーバッチは本作品の撮影が終わって、次なる作品『ドクター・ストレンジ・イン・マルチバース・オブ・マッドネス』の日本公開を2022年5月4日に控えています。

その間にも『モーリタニアン 黒塗りの記録』、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』など2021年には4作品に出演。更に制作も兼ねていたという事ですから、凄く体力のある俳優さんであることがわかりますね。

激太り→激やせの次にスーパーヒーローとなる筋肉質の体に戻すという過酷なボディメイクを敢行したことは称賛に値します。

過去にもトム・ハンクスが『キャスト・アウェイ』で22.7kgの減量、マイケル・ファスベンダーが『ハンガー』で19kgの減量を、クリスチャン・ベールに至っては『マシニスト』で28.5kgもの減量を試みています。

華やかさの裏にはこういった死に物狂いの努力があるという事ですね。

激やせ俳優

クーリエ:最高機密の運び屋のキャスト・スタッフ

グレヴィル・ウィン役=ベネディクト・カンバーバッチ

グレヴィル・ウィン役=ベネディクト・カンバーバッチ

イギリス諜報機関M16からの依頼で、ソ連の機密情報を西側に持ち帰る役割を担ったイギリスのセールスマンで、キューバ危機から世界を救った男の1人を務めます。

1976年7月19日にイングランド・ロンドンで俳優のティモシー・カールトンとワンダ・ヴェンサムとの間に生を受けます。父方の祖父であるヘンリー・カールトン・カンバーバッチは、第一次世界大戦と第二次世界大戦に従軍した著名な海軍軍人です。

また15世紀のイングランド王であるリチャード3世と血縁関係にあることがレスター大学の研究により明らかにされています。彼が出演した『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』では自身の祖先リチャード3世を演じて話題となりました。

イングランドの名門校であるハーロー高校時代から演劇を始め、マンチェスター大学で演技を学んで、更にロンドン音楽芸術学院でも演技を学んでいます。

2001年から数々の舞台に出るようになり、『Frankenstein(フランケンシュタイン)』では、共演者のジョニー・リー・ミラーと共に2012年度のローレンス・オリヴィエ賞主演男優賞を受賞。

2004年に理論物理学者スティーブン・ホーキング博士の半生を描いた2004年のドラマ『ホーキング』で主演を務め評価されます。その後『アメイジング・グレイス』や『ブーリン家の姉妹』などの出演を経て、2010年から放送された『SHERLOCK(シャーロック)』で、主役のシャーロック・ホームズを演じブレイク。

魅惑的なオッドアイと洗練されたルックスで、2013年のイギリスのサイト“エンパイア・オンライン”で「世界で最もセクシーな映画スター」の1位に輝くことに。

2017年の『エジソンズ・ゲーム』では制作総指揮を務め、この頃から作品の制作にかかわるようになり、本作品でも制作総指揮を務めています。

2022年5月4日には新作のマーベル映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が公開される予定ですのでお楽しみに♪


オレグ・ペンコフスキー(アレックス)役=メラーブ・ニニッゼ

オレグ・ペンコフスキー(アレックス)役=メラーブ・ニニッゼ

GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)の高官で、西側に情報を提供するスパイ。キューバ危機から世界を救った男の1人で、グレヴィル・ウィンと共に逮捕されますが、逮捕の翌年処刑される人物を務めています。

1965年11月3日、グルジア(現在のジョージア)の首都トビリシで芸術家の家庭に生を受けます。祖父が舞台監督だったため、幼少期から舞台経験を積んでいます。

1984年にテンギズ・アブラゼ監督の『მონანიება(懺悔)』で映画デビュー。この作品はカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞しました。1991年のグルジア内戦の時、映画撮影でウィーンに滞在後、国外に移住。

2001年の映画『名もなきアフリカの地で』で第75回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したことにより知られるようになります。その後、トム・ハンクス主演のスパイ映画『ブリッジ・オブ・スパイ』やテレビシリーズ『HOMELAND』などに出演。最近ではトム・クランシー原作のアクションスリラー映画『ウィズアウト・リモース』や2014年から続いている犯罪ドラマ『Der Usedom-Krimi』などに出演しています。


エミリー・ドノヴァン役=レイチェル・ブロズナハン

エミリー・ドノヴァン役=レイチェル・ブロズナハン

CIAの職員で、ウィンの世話役的な存在。東側にスパイ行為がバレた時、捕まりそうになりますが危うく難を逃れます。

レイチェル・ブロズナハンと言えば『マーベラス・ミセス・メイゼル』が思い浮かぶのではないでしょうか。彼女はこの作品でエミー賞(コメディシリーズ部門)主演女優賞、ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディシリーズ部門)女優賞、全米映画俳優組合賞( コメディシリーズ部門)女優賞を受賞。

1990年7月12日にウィスコンシン州ミルウォーキーで生を受けます。因みに、ファッションデザイナーのケイト・スペードが叔母にあたります。ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツの芸術学部を卒業。

2009年のスリラー映画『アンボーン』で映画デビューします。その後『ゴシップガール』や『グッド・ワイフ』、『CSI:マイアミ』などにゲスト出演し、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のレイチェル・ポスナー役で19話出演し、2015年のエミー賞ゲスト女優賞にノミネートされて知られるようになります。

2017年から放送開始された『マーベラス・ミセス・メイゼル』で高評価を受けて人気となりブレイク。現在も放送が続いています。映画では『アイム・ユア・ウーマン』で主役を務めるなど、人気女優の仲間入りをしています。


シーラ・ウィン役=ジェシー・バックリー

シーラ・ウィン役=ジェシー・バックリー

グレヴィル・ウィンの妻役。

1989年12月28日にアイルランド キラーニーで生を受けます。2008年のBBCオーディション番組に出演したのを機に舞台に立つようになります。2013年にロンドンの王立演劇学校を卒業。

2016年のテレビシリーズ『戦争と平和』のマリヤ・ボルコンスカヤ役で高い評価を得て、2018年の映画『ワイルド・ローズ』の主人公ローズ役を演じ、主題歌の「Glasgow」を披露し、歌手としても有名です。この作品では英国アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。

本サイトでも紹介しているテレビミニシリーズ『チェルノブイリ』で、リュドミラ・イグナテンコ役を務め、『FARGO/ファーゴ:カンザスシティ』でオラエッタ・メイフラワー役を務めました。


ディッキー・フランクス役=アンガス・ライト

ディッキー・フランクス役=アンガス・ライト

M16の職員役。

1964年11月11日にコロンビア特別区のワシントンで生を受けました。1993年に俳優として活動を始めます。

主な作品は『オフィシャル・シークレット』『ザ・クラウン』『バーナビー警部』『マレフィセント』『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』など。


ジョン・マコーン役=ジェリコ・イヴァネク

ジョン・マコーン役=ジェリコ・イヴァネク

CIA長官役。

1957年8月15日、 ユーゴスラビア(現スロベニア)リュブリャナで生まれました。1978年にイェール大学を卒業後、「London Academy of Music and Dramatic Art」で演技を勉強し、1981年のテレビドラマ『The Edge of Night』で俳優デビュー。

2008年ドラマ・シリーズ『ダメージ』で、エミー賞ドラマシリーズ部門助演男優賞を受賞しました。『白い嵐』『戦火の勇気』『シビル・アクション』『ボーン・レガシー』など、多数の有名映画の名脇役としてお馴染みです。

テレビシリーズでは『ホミサイド/殺人捜査課』『OZ/オズ』『24 -TWENTY FOUR-』『ダメージ』『THE EVENT/イベント』などに準レギュラーとして出演。


アンドリュー・ウィン役=キーア・ヒルズ

アンドリュー・ウィン役=キーア・ヒルズ

グレヴィル・ウィンの息子役。

2018年の映画『Vodafone: Raising Voices – Dc』で子役デビュー。本作品が2作目となります。


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