映画“スポットライト”の真実!

映画『スポットライト』は、1900年代中頃から続いていたカトリック司祭の性的虐待事件を、マサチューセッツ州ボストンの日刊紙『ボストン・グローブ』の取材チーム「スポットライト」が、調査し報道するまでの苦悩を描いた作品です。50年以上の長きに渡って隠され続けてきたスクープの真実を調べてみました。

あらすじ

マサチューセッツ州・ボストンの新聞社「ボストン・グローブ社」に新任の編集長マーティ・バロンが配属になります。バロンは少数精鋭チーム「スポットライト」の責任者であるウォルターに、ゲーガン神父が子供に性的虐待をしたことを記事にするよう持ちかけます。

スポットライトチームは、躊躇するものの調査中の取材を中断して、ゲーガン神父の事件に着手。調査していくうちにマサチューセッツ州のカトリック教会で、神父による虐待の隠蔽が多数あることに気付きます。

パターンとして、神父の移動や病気療養などがあり、当初ゲーガン神父1人だったはずが、13人の対象者がいることが判明。しかし、実際には90人以上の神父が虐待に関わっているとの情報を得ます。

パターンを基に調査していくうちに、87人のリストが挙がりました。しかし、明るみに出るのを恐れる人間からの様々な妨害や障害に遭うことに。また、調査を始めてから暫く経った2001年9月11日、同時多発テロが起こりゲーガン事件は棚上げ状態となり、調査に協力していた被害者は怒りを抑えきれず、「もう協力しない」と拒まれてしまいます。スポットライトチームにもしだいに焦りの色が。

ようやく調査の再開が始まり、枢機卿が虐待事件を知りながら無視したという公的な証拠の存在を掴みます。マイクは逸る気持ちを抑えきれずにすぐにでも記事にするよう主張しますが、ウォルターはカトリック教会の組織的な犯罪行為を徹底的に暴くため、完璧な記事を書きたいと公開を遅らせます。

スポットライトチームは、教会の証拠開示請求をするため裁判にかけ勝訴します。そして、2002年1月に初めて記事を公開し、それ以降も特集記事の公開をし続けました。

スポットライト製作スタッフ

主要キャスト

マイク・レゼンデス役=マーク・ラファロ

マイク・レゼンデス役=マーク・ラファロ

真実を追求するために必死に調査する熱血漢溢れる記者。枢機卿が虐待事件を知りながら無視したという公的な証拠を掴むと、すぐにでも記事を公開したいと熱心に言いますが、全ての証拠を掴むまで公開はしないと言われ憤慨します。

マーク・ラファロについて

高校の時に俳優を目指し、卒業後バーテンダーをしながらロサンジェルスのステラ・アドラー・コンサヴァトリーで演劇活動を行いました。『コラテラル』『ゾディアック』『ブラインドネス』『シャッター アイランド』など、多数の話題作に出演。

自身の制作映画『ノーマル・ハート』では、エミー賞作品賞を受賞、主演男優賞にノミネートされた他、多数の賞を受賞しています。

ウォルター・“ロビー”・ロビンソン役=マイケル・キートン

ウォルター・“ロビー”・ロビンソン役=マイケル・キートン

アメリカで最古の新聞社、ボストン・グローブ社の記者として長年勤めてきました。ローマカトリックの聖職者性的虐待事件では、周りの状況を冷静に判断し、スポットライトチームの責任者として責務を果たしました。

マイケル・キートンについて

1977年に俳優としてデビュー。1988年のティム・バートン監督の『ビートルジュース』で、ハイテンションなエクソシストを演じ、名を馳せるとともにブレイクしました。2014年に公開された『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』では、主演のリーガンを演じ、ゴールデングローブ賞主演男優賞をはじめとする数々の賞を受賞します。その翌年に本作が公開されました。

サーシャ・ファイファー役=レイチェル・マクアダムス

サーシャ・ファイファー役=レイチェル・マクアダムス

ボストン・グローブのスポットライトチームのメンバー。ボストン大学で歴史と英語の修士号を取得し、1995年にボストングローブ社に入社しました。

ボストン生まれで、祖母は敬虔なカトリック信者です。そのため、ローマカトリック神父たちの性的虐待報道がされた時は、かなりショックを受けていたようです。

レイチェル・マクアダムスについて

1978年11月17日、カナダオンタリオ州ロンドン生まれの女優さんです。1998年にディズニー映画『 The Famous Jett Jackson 』でデビューします。2012年の映画『君への誓い』で実力を評価され、本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。

マーティ・バロン役=リーヴ・シュレイバー

マーティ・バロン役=リーヴ・シュレイバー

ボストン・グローブ社の新任編集長として赴任。誰をも納得させる記事を書くことを信念としています。カトリック司祭による性的虐待事件のスクープという大スキャンダルを特集することをスポットライトチームに提案。1993年に性的虐待を行った20人の神父のリストを受け取りながら、調査しなかったことを後悔するロビンソンに対して、「今、犯罪を暴いたことが重要だ」としてチームを称賛します。

リーヴ・シュレイバーについて

ハンプシャー大学やロンドンの王立演劇学校で演技を学び、1992年にイェール大学演劇大学院で修士号を取得。『スクリーム』シリーズで有名になり、舞台俳優として『テンペスト』や『マクベス』などに出演します。

テレビドラマ『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』で主演を務め、2013年に第71回ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされています。

ベン・ブラッドリー・ジュニア役=ジョン・スラッテリー

ベン・ブラッドリー・ジュニア役=ジョン・スラッテリー

父親のベン・ブラッドリーさんは、ワシントンポストの記者です。コルビー大学卒業後にアフガニスタンの平和部隊に1972年まで所属、その後ボストングローブ氏の記者として務め、その時のスポットライトチームの一員となりました。

ジョン・スラッテリーについて

出身は本作と同じボストンで生まれています。マーベルコミックの『アイアンマン2』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ/エンドゲーム』などで、主人公トニー・スタークの父であるハワード・スターク役で有名です。

マット・キャロル役=ブライアン・ダーシー・ジェームズ

マット・キャロル役=ブライアン・ダーシー・ジェームズ

ノースイースタン大学でのジャーナリズム教授を務めています。また、ボストングローブ社のスポットライトチームで情報分析を専門にやっていました。当時住んでいた近所に、性的虐待を行った神父の家があったことに気付いて、注意を呼び掛けたことも。

ブライアン・ダーシー・ジェームズについて

ミシガン州サギノー出身の俳優で、1993年に25歳で俳優デビューしました。『X-MEN: ダーク・フェニックス』の大統領役や、Netflixのドラマ『13の理由』で、主人公であるハンナ・ベイカーの父親役として有名です。

ミッチェル・ガラベディアン役=スタンリー・トゥッチ

ローマカトリック司祭の性的虐待の被害者を弁護した弁護士です。性格は短気でちょっと変わっているが、この事件に対して熱心に向き合う良心的な弁護士。訪ねていったマイク・レゼンデスに対して、最初は辛辣な態度を示したが、ボストングローブで取り上げたいと説得していくうちに被害者を紹介するようになり、最後はマイクともうちとける仲になっていきます。

スタンリー・トゥッチについて

イタリア系アメリカ人で、父親は教師母親は作家、姉妹のクリスティーンは俳優で従兄弟のジョセフ・トロピアーノは脚本家として活動しています。2004年にはアメリカ版の『シャル・ウイ・ダンス』で、竹中直人さんの役を演じ好評を博しています。

その他キャスト

  • スティーヴ・カークジャン=ジーン・アモローソ: 『ボストン・グローブ』総合調査記者
  • ジム・サリヴァン=ジェイミー・シェリダン: 教会側の弁護士
  • エリック・マクリーシュ=ビリー・クラダップ: 弁護士
  • アイリーン・マクナマラ=モーリーン・キーラー: 『ボストン・グローブ』コラムニスト
  • リチャード・サイプ=リチャード・ジェンキンス: 心理療法士
  • ピート・コンリー – ポール・ギルフォイル
  • バーナード・ロウ枢機卿=レン・キャリオー
  • フィル・サヴィアノ=ニール・ハフ: 聖職者による虐待被害者ネットワーク(SNAP)の一員
  • ジョー・クロウリー=マイケル・シリル・クレイトン: 聖職者による虐待被害者
  • コンスタンス・スウィーニー判事=ローリー・ハイネマン
  • ビル・カメザ理事長 – ティム・プロゴシュ
  • ピーター・カネロス=ダグ・マーレイ: 『ボストン・グローブ』都市圏担当記者

監督・脚本・その他

監督トム・マッカーシー
脚本ジョシュ・シンガー
トム・マッカーシー
製作マイケル・シュガー
スティーヴ・ゴリン
ニコール・ロックリン
バイル・ペイゴン・ファウスト
製作総指揮ジェフ・スコール
ジョナサン・キング
ピエール・オミダイア
マイケル・ビーダーマン
バード・ドロス
トム・オーテンバーグ
ピーター・ローソン
ゼイヴィア・マーチャンド

興行収入や評価

興行収入や評価
興行収入や評価

2013年6月にトム・マッカーシーとジョシュ・シンガーは脚本を完成させ、2014年9月24日に本拠地のボストンでクランクインされました。2015年3月頃に撮影が終了すると、そこから約8か月かけて編集作業が行われ、2015年11月6日に北アメリカで限定公開された後、11月25日に拡大公開されています。

制作費はおよそ2000万ドル(約21億4千万円)に対して、興行収入は北米だけで3929万ドル(約42億円)、他の地域を合わせて合計6335万ドル(約67億8600万円)を売り上げました。拡大公開された初日には週末興行ランキングで8位に立っています。

映画やドラマの代表的な評価サイト「Rotten Tomatoes」では、259件の評価で96%という高評価を得て、批評家の総意では「『スポットライト 世紀のスクープ』はその事実に基づく物語の恐ろしい細部を、主人公たちを持て囃したい誘惑に抗いながら丁寧になぞることで、被写体となった実在の人物と観客の両方に敬意を表するドラマを作り上げている」としています。

カトリック協会の反応

カトリック協会の反応
カトリック協会の反応

バチカン放送のコメンテーターによりますと、本作品を「誠実」「力強い」と称賛。グローブ紙のこの報道は「罪を完全に受け入れ、それを公に認め、すべての責任を取る」ことをカトリック教会に促したと述べています。

また、バチカン放送の電子版を担当しているルカ・ペレグリーニ氏は、「ボストン大司教区のカトリック教会の基盤を崩壊に陥れたのは、テロ攻撃ではなく、とどまるところを知らない真実の力だった。事実、最も純粋な召命の形を示して見せたのは、紛れもなく『ボストン・グローブ』の数名の有能なジャーナリストたちである。その召命とは、事実を探し出し、情報源を調べ上げ、コミュニティと街のために自らを正義の騎士とすることだった」としています。

2016年2月には「聖職者による性的虐待に関するバチカンの委員会」で本作を上映。バチカンの日刊紙である『オッセルヴァトーレ・ロマーノ』では、「反カトリック的な映画ではない」「同作は、敬虔な人々がこうした恐ろしい現実の発見に対峙したときの衝撃と絶大な痛みを表現することに成功している」とのコラムを掲載し、この事件の重要性を記しています。

本作に対する批判

ボストングローブに対して批判書を書いているデイヴィッド・F・ピエール・ジュニア氏は、「虐待する司祭たちは一定の治療を施せば、司祭に戻っても安全だと断言した精神医学者たちを描かなかったことに批判を寄せました。

また、ボストンカレッジ高校の理事で広報部長のジャック・ダン氏は、自身の描かれたキャラクターが、教会の隠蔽に加担していたかのように描かれていたことを批判。自分は事件が明るみに出た際、すぐに対応していると語っています。この反論に、主要キャラクターのウォルター・ロビンソン記者とサーシャ・ファイファー記者は、ジャック・ダン氏は当時、「自身が広報を務める学校に最も都合よくなる形に話を当てはめた」「2002年初頭に我々が初めて腰を下ろして取材したときには、広報として積極的にボストンカレッジ高校を擁護した」と反論しています。

映画『スポットライト 世紀のスクープ』予告編

1950年代からとも言われるカトリック教会の性的虐待事件は、長年の間公にはされず、教会の闇となっていました。おそらく1950年以前からの因襲だったという可能性も否めません。

次のページでは、アメリカを始めとする、世界各国で実際に起こった性的虐待の事実を調べていきます。

映画“スポットライト”の真実!カトリック教会の性的虐待事件(日本編)>>

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Muku
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