ボブという名の猫 幸せのハイタッチ
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』の概要

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』は、2016年のイギリスの実話に基づく映画です。
野良猫の怪我を治して助けたつもりのストリートミュージシャンが、本当は猫に助けられたという奇跡のような実話。 『英国王のスピーチ』の制作陣が制作した心温まる感動作品。
現在日本ではペットの数が犬よりも猫のほうが上回る勢いです。CMで見かける動物は猫ブームに伴って多くの猫が起用されています。猫はかわいいだけではないのです。ツンとしているようで、実は人間のことをよく観察しています。

そしてこの映画に登場する主人公の猫「ボブ」は、先見の眼差しでジェームズを成功へと導く、神がかり的な猫だったのです。かわいい仕草にモフモフの毛並み、そしてジェームズを見つめる親のような温かさは、見る者の心をいやしの世界へと誘っていくでしょう。
あらすじ
ボブとの出会い
幼いころの家庭環境から薬物依存症になってしまったミュージシャンを目指すジェームズは、薬物をやめてはまたやってしまうという日常を繰り返しながら路上生活をしていました。
ソーシャルワーカーに部屋を都合してもらい、本格的に薬物とは断ち切ると決断した矢先、1匹の怪我をした野良猫が迷い込んできました。ジェームズは久しぶりに街で出会った父親にもらった有り金を全部猫の治療に使い果たし、食べるものも買えない状態に。

成功から困難や試練へ
その日から猫はジェームズから離れなくなってしまいます。そして隣の部屋に住んでいるベティという女性が猫の名前を「ボブ」とつけてくれました。ジェームズがどこに行くにもついてきて、路上ライブでも隣に身を寄せるボブは通りすがりの人たちの目を惹き、たちまち人だかりができてライブは大成功となります。
ボブのおかげでジェームズの懐は潤うばかり。しかしそうそう旨いことばかりではなく、ジェームズの前には次々と困難や試練が立ちはだかるのでした…..
あとがきと感想
登場したボブ役の猫はなんと本物のボブ!

エンドロールに出てくる本物のボブと本物のジェームズさんを見ているうちに、本編でのボブ役の猫があまりにも本物そっくりだったので、まさかなぁ~・・・と思って調べたら、なんと本作に登場したボブ役の猫はボブ本人だったことがわかってかなり衝撃を受けました。
ハイタッチの仕方や肩に乗るシーンは、いくら凄腕役者の猫とはいえそう簡単にできるものではありません。このボブちゃんは一流の俳優でもあったのですね。
猫を売ってくれという親子にブチ切れ!
本作の途中で現れる親子ですが、猫を見て欲しがる子供の欲求を叶えるために「この猫を売って」と母親が買いに出ます。しかしジェームズは猫は売り物じゃないと言います。それでもしつこく「いくらなら売ってくれるの」と交渉に出るので、ジェームズは「じゃ、その子供を僕に売ってくれ」とわざと嫌味な言い方をします。
その言葉に切れた母親が「なんて人なの!」と言い捨てて去っていきますが、それはジェームズのセリフでしょ!と思わず言ってしまいました。子供の行く末が想像できるようですね。かわいそうに・・・
イギリスの貧困層をリアルに描いたストーリー
しかしこの映画は猫と人間のラブロマンスでは終わらず、イギリスのホームレスたちの窮状や薬物依存者の生活をリアルに描いた本当の姿を伝える要素にもなっているようです。
作者のジェームズ・ボーエンさんについて
1979年に イギリス東南部サリー に生まれ、両親の離婚でオーストラリアに移住しました。1997年にプロのミュージシャンを目指し、イギリスに戻りますが、困難な人生に薬物依存に陥って路上生活を余儀なくされます。
路上で演奏をして生計を立てていましたが、ある日茶虎の猫「ボブ」と出会い、生涯の相棒となります。

「猫をお供にして歌っている路上ミュージシャンがいることを聞きつけた出版社が、ジェームズに自叙伝を執筆することを勧め、出来上がったのが 『ボブという名のストリート・キャット』 です。
ボブとの奇跡のストーリーを綴った著書は世界的にベストセラーとなり、続編の 『ボブがくれた世界 ぼくらの小さな冒険』 が出版されています。
初版が2012年に出版されると、 76週間連続 でベストセラーにランクインされるという記録を打ち立てています。世界の30か国以上で出版され、累計1000万部を超えるベストセラーとなりました。
10代の若者が読む本の代表作として 『ハリー・ポッター』や『ハンガー・ゲーム』 などと共に紹介されています。
キャスト

ジェームズ・ボーエン役=ルーク・トレッダウェイ

ベティ役
ルタ・ゲドミンタス

ヴァル役
ジョアンヌ・フロガット

ジャック・ボーエン役
アンソニー・ヘッド

メアリー役
キャロライン・グッドール

ボブ役
ボブ
スタッフ
- 監督: ロジャー・スポティスウッド
- 製作総指揮: ダミアン・ジョーンズ、ティム・スミス、ポール・ブレット、アンダース・エアデン、ジェームズ・スウォーブリック、ブライアン・オシェイ
- 音楽 : デヴィッド・ハーシュフェルダー 、 チャーリー・フィンク
ボブが天国へと旅立った
ジェームズが薬物から抜け出せずに苦しんでいた時に、ふと現れた野良猫のボブ。ジェームズの薬物治療の立役者となり、その後の人生にも大きな影響を与えたボブでしたが、2020年6月15日に天命を全うして天国へと旅立ちました。
ジェームズと出会ったのが2007年、あれから13年間一緒に生きてきたボブの年齢は、おそらく14歳から15歳ほどではなかったでしょうか。
実際にこの映画を観た時に一番懸念されたのが、猫の寿命は人間の5分の1ほどだということ。いつかは別れる時が来るであろうことを思いながら、思わず涙ぐんだものでした。
ジェームズ自身は今後、ボブのいなくなった人生をどう立ち向かっていくのでしょうか。届かないとはいえ、応援してあげたいですね。
「ボブはいつも隣にいるよ!一日も早く悲しみを乗り越えて!!」
2020年後半には、続編映画『A Gift from Bob』が公開予定となっています。
ジェームズ・ボーエンさんの声明を挙げておきます。
「ボブは僕の命を救ってくれた。彼は僕に友情以上のものをくれた。彼がそばにいてくれたおかげで、僕は自分に欠けていた方向性と目的を見つけることができた。本や映画を通じて一緒に成し遂げた成功は奇跡的だった。彼は何千もの人々に出会い、何百万もの人生に触れた。彼のような猫はいなかった。もう二度といない。人生の光が消えたような気がする。彼のことは決して忘れません」
http://amass.jp/135786/
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