スティーヴン・キング不屈の名作~ショーシャンクの空に

スティーヴン・キング不屈の名作~ショーシャンクの空に サスペンス

映画『ショーシャンクの空に』の概要

「ショーシャンクの空に」はスティーブン・キングの小説「刑務所のリタ・ヘイワース」を基に、フランク・ダラボンが監督および脚本を手がけた作品で、1994年にアメリカで、1995年には日本でも公開されました。

無実の罪により投獄された元銀行員アンディを演じたティム・ロビンス。そして彼の友人となるレッドを演じたモーガン・フリーマンという二人の主人公。

さらに極悪非道な刑務所長ノートンにボブ・ガントン、冷酷な刑務主任ハドリーにクランシー・ブラウン。老囚人役でいぶし銀の演技を見せるジェームズ・ホイットモア。囚人役のウイリアム・サドラー、マーク・ロルストンなど個性的な名優が生涯ベストとも言える演技を披露しています。

本国での公開直後には出演者たちの演技などについて世間では高く評価していましたが、当時は「フォレスト・ガンプ」などの作品が競合していたため劇場への動員は思ったほど伸びず、興行的には失敗したと見られていました。

しかし、のちにアカデミー賞主演男優賞(モーガン・フリーマン)脚色賞(フランク・ダラボン)など7部門にノミネートされたことにより、劇場での再公開さらに海外での公開による収益も上げることができました。

さらに現在でもIMDbランキングにおいては、「ゴッドファーザーI、II」を抑えて1位を保持しています。

映画『ショーシャンクの空に』の見どころ

冒頭、アンディ・デュフレーンが妻とその愛人の密会場所を探るシーン、車の中で拳銃を握りしめるアンディ、そして裁判のシーン。果たしてアンディは妻とその愛人を射殺したのか?この謎は徐々に解き明かされていきます。

終身刑の判決を受け、ショーシャンク刑務所に収監されたアンディを待っていたのは、男色の囚人による暴行でした。この絶望的な生活の中でもアンディは決して希望を捨てません。

正気を失わないために彼が20年間もこっそりと続けていたものは小さなロックハンマーによる穴掘り。彼はこの穴を伝って脱獄します。この顛末は後半に明らかになりますが、それまで脱獄を暗示するような場面は一切登場しません。

刑務所で初めてできた友人が調達屋のレッド(モーガン・フリーマン)でした。彼はこの時すでに20年間をこの刑務所で過ごしていたのです。そんなレッドは希望を持ち続けるアンディに対して常に批判的でしたが、徐々に変わっていきます。

アンディは所長に無断でモーツァルトの「フィガロの結婚」の二重唱を刑務所中に放送、この歌声はまるで天国からの声のように全ての受刑者たちを優しく包み込みました。この瞬間彼らはあらゆる苦しみから解放されたような気分になったのです。

このことが原因でアンディは懲罰房に入れられますが、彼は房の中でも「心で、頭で音楽を聴いていた。誰も音楽を奪うことはできないんだ」と皆に語りかけます。

トミーの死後アンディがレッドにメキシコへ行く夢を語るシーンも印象的です。この時のアンディの真剣な表情からはすでに脱獄への決意が感じられます。

ある朝、アンディは突如として房から消えていました。ここからがクライマックスとなります。アンディの脱獄の顛末が克明に描かれ、息を呑むシーンの連続、そしてアンディに訪れた平穏。悠々と南へ下る彼の明るい表情がとても印象的です。

やがて、40年目にしてようやく仮釈放されたレッド。いざ釈放されてみると、世の中は生きづらく、刑務所以外に自分の行き場はないように感じ悩みますが、そんな時アンディとの約束を思い出します。

アンディが常に言っていた「希望を捨ててはいけない」という言葉を胸に一路アンディの元へ向かうレッド。再会できるのか?ハラハラしながら観てしまいます。

そして、ついに再会を果たすアンディとレッド。熱く抱擁する二人の姿。表情は分かりませんが、何を思い、何を語っているのかということを想像するだけでわくわくするシーンです。

全体を通して「贖罪」「希望」「友情」というテーマが根底に流れる作品です。アンディとレッド、そして囚人たちとのさまざまなエピソードも心に残るものが多く、何度も繰り返し観たくなる名作です。

アンディからの伝言が埋められたバクストンの牧歌的な牧草地。どこまでも青く澄み切った太平洋。これらの風景はまるで天国のように感じられます。地獄から抜け出したアンディがたどり着いた安息の地でもあるかのように。

映画『ショーシャンクの空に』の撮影秘話など

混迷したキャスティング

当初のキャスティングでは主役アンディ役はジョニー・デップやトム・クルーズ、ケビン・コスナーらが、また若い囚人トミーの役はブラッド・ピットが候補に上がっていたそうですが、今思えばアンディはティム・ロビンス、トミーはギル・ベローズが最適だと思えます。

撮影地はオハイオ州立少年院

ショーシャンク刑務所の建物は閉鎖されたオハイオ州立少年院を使用しており、刑務所内部のシーンではこの建物の中で撮影が行われました。実物ならではの迫力です。

脱獄の撮影に有毒物質混入の小川!

アンディが脱獄に使った下水管には水とチョコレートシロップ、おがくずを混ぜて使い、彼が飛び込む小川は有毒だったために堰き止められ、水深を深くして塩素消毒も施しました。こうしてあの名場面が完成した訳です。

撮影地の刑務所が観光名所になる

アンディがレッドへの手紙を埋めた大きな樫の木は「ショーシャンクの木」と呼ばれ希望の象徴となっていましたが、2011年に落雷で割れ、その後倒壊してしまいます。

刑務所の跡地は歴史的建造物として保存されることになり、観光名所となりました。この中には多くの部屋や小道具の他、アンディが脱獄に使用した排水管のセットや倒壊した「ショーシャンクの木」の一部も保管されています。

地元企業は刑務所にちなんだケーキを販売したり、映画関連の場所をめぐる「ショーシャンク・トレイル」も運営したりしているとのことです。

作品がアメリカ国立フィルム登録簿に登録される

2015年に「ショーシャンクの空に」はアメリカ議会図書館によりアメリカ国立フィルム登録簿に登録されました。この作品がアメリカの映画遺産の一部となったのです。

映画『ショーシャンクの空に』のキャスト

1.アンディ・デュフレーン役=ティム・ロビンス

アンディ・デュフレーン役=ティム・ロビンス
1958年10月16日カリフォルニアで生まれる。父親はミュージシャンで母親は女優。 本人は12歳から演劇に関わるようになり、ニューヨーク州立大学、UCLAで学んだ後ロサンゼルスで劇団を立ち上げました。

1988年映画「さよならゲーム」のマイナーリーグの新人投手役で注目され、1992年には「ザ・プレイヤー」、1994年には「ショーシャンクの空に」に主演します。

2003年「ミスティック・リバー」でアカデミー助演男優賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞などを受賞しています。
それ以降も「宇宙戦争」「グリーンランタン」他多数の映画に出演。監督としても「デッドマン・ウォーキング」など優れた作品を制作しています。

また、「死刑制度反対」などの政治的な活動も行っており、さらにミュージシャンとして活動していた時期もあります。



2.エリス・ボイド・“レッド”・レディング役=モーガン・フリーマン

エリス・ボイド・“レッド”・レディング役=モーガン・フリーマン
1937年6月1日、テネシー州メンフィスで理髪師である父と清掃員の母との間に生まれます。

劇団での下積み生活の後、1968年にブロードウエイにて「ハロー!ドリー」の舞台に立ちます。その後も脇役ばかり務めてきましたが、1989年の「ドライビングMissデイジー」や「グローリー」などで主役級の重要な役柄を演じるようになります。

「ショーシャンクの空に」においては、ティム・ロビンスと共に主役を務め最高の演技を見せてくれました。ちなみにこの作品の中で新入りの囚人を出迎える若い黒人の囚人が登場しますが、これはモーガン・フリーマンの実の息子さんだそうです。

その後も「セブン」「ディープインパクト」「最高の人生の見つけ方」など多くの作品で重厚な演技を披露しています。

さらに、プロデューサーとして活動したり、「皇帝ペンギン」や「宇宙戦争」などではナレーターも努めています。



3.サミュエル・ノートン役=ボブ・ガントン

サミュエル・ノートン役=ボブ・ガントン
1945年11月15日、カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。カリフォルニア大学アーバイン校で学びました。1965年から舞台で活躍し、「エビータ」でトニー賞にノミネートされ、1990年には「スウィニー・トッド」で再びトニー賞にノミネートされています。

テレビドラマへの出演も多く、「デスパレートな妻たち」「名探偵モンク」「24-TWENTY FOUR-」など多くの作品に出演しています。

「ショーシャンクの空に」の極悪非道な刑務所長の演技はまさにはまり役。徹底的に憎まれ役を演じますが、この演技には鬼気迫るものがあります。その後も「リンカーン弁護士」「チリ33人希望の軌跡」など多くの作品に出演。

最近ではドラマ「エレメンタリー ホームズ&ワトソンinNY」2021年には映画「ゴーストバスターズ/アフターライフ」にも出演しています。



4.ヘイウッド役=ウィリアム・サドラー

ヘイウッド役=ウィリアム・サドラー
1950年4月13日、ニューヨーク州バッファロー生まれ。ニューヨーク州立大学ジェネセオ校で演劇を学び、奨学金を得てコーネル大学でも学びました。卒業後はニューヨークの舞台や映画・テレビで活躍します。

ダイ・ハード2のスチュアート大佐のような悪役が多いイメージがありますが、フランク・ダラボン監督による「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」「ミスト」の3作全てに出演しています。

「ショーシャンクの空に」のヘイウッドのように少しとぼけた味わいのある役も得意としているようです。最近では映画「セイラムズ・ロット」「ザ・グラッジ死霊の棲む屋敷」「ザ・テキサスレンジャーズ」などに出演。

また「ホームランド」「ブラックリスト」「エージェント・オブ・シールド」などのドラマにも多数出演しています。



5.バイロン・ハドリー役=クランシー・ブラウン

バイロン・ハドリー役=クランシー・ブラウン
1959年1月5日オハイオ州アーバナ生まれ。父は共和党の会員議員、母はピアニスト、祖父は政治家という家庭で育ちます。学生時代はフットボールや陸上競技の選手としても活躍。ノースウェスタン大学卒業後アニメの声優としてデビューしました。

映画デビューはショーン・ペン主演の「バッド・ボーイズ」。その後も「ブライド」「ハイランダー 悪魔の戦士」などで主に悪役を務め注目を集めます。「ショーシャンクの空に」における冷酷非道な看守の主任役は圧倒的な迫力。ボブ・ガントン演じる刑務所長と見事な悪役コンビを演じています。

よく響く太い声が特徴で、この声を活かして「スーパーマン」「スポンジボブ」などのアニメの吹き替えも担当しています。

最近では「バトルフロント」「プロミシング・ヤング・ウーマン」などに出演しています。



6.トミー・ウィリアムズ役=ギル・ベローズ

トミー・ウィリアムズ役=ギル・ベローズ
1967年6月28日、カナダ・バンクーバー生まれ。ロサンゼルスの学校で演技を学び、「ショーシャンクの空に」のトミー役で映画デビュー。その後ドラマ「アリーmy Love」にはビリー・トーマス役で出演しました。

「ショーシャンクの空に」のトミーの役は実に新鮮です。盗みを繰り返し、無鉄砲さを持ちながらも、やがて更生しようとする若者を熱演しています。そして「アリーmy Love」においては主人公会アリーの元カレという役どころで、恋の板挟みに悩む若者を好演しました。

映画では「奥サマは魔女」「ニコラス・ケイジのウェザーマン」「スケアリーストーリーズ 怖い本」さらに「JETT/ジェット」「パトリオック シーズン2」などのドラマで知られています。



7.ブルックス・ヘイトレン役=ジェームズ・ホイットモア

ブルックス・ヘイトレン役=ジェームズ・ホイットモア
1921年10月1日、ニューヨーク州ホワイトプレインズ生まれ。1948年にブロードウェイの舞台「コマンド・ディシジョン」でトニー賞、1949年「戦場」でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞。

1975年には映画「Give’em Hell,Harry!」でトルーマン大統領を演じてアカデミー主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされるなど、まさに燻銀の演技で話題になりました。

「ショーシャンクの空に」のブルックス役はホイットモアの持つ人間的な深みが滲み出た役どころで、彼にしか出せない味があります。また、「愛情物語」「猿の惑星」「トラ・トラ・トラ」などにおける名演も忘れ難いものがあります。

ドラマ「CSI:科学捜査班」にゲスト出演しましたが、これが最後の出演作となったようです。



8.ボグズ・ダイアモンド役=マーク・ロルストン

ボグズ・ダイアモンド役=マーク・ロルストン
1956年12月7日、ボルチモア生まれ。映画「エイリアン2」「リーサル・ウェポン2」に端役として出演しますが、「ショーシャンクの空に」では、主人公のアンディを暴行する囚人ボッグス役で狂気に満ちた迫真の演技を披露しています。このボッグスは本当に怖かったですね。音もなく背後から近づいてくるシーンはゾッとします。

その後も「イレイザー」「デイライト」「ラッシュアワー」などに出演。「ソウ5」ではFBI捜査官役を熱演しています。近年では「ミッドウエイ」「デスライナーズ」「アースフォール」などの映画やドラマ「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」「TURN」「BOSCH』「24-TWENTY FOYR-」「CSI:シリーズ」などに数話ずつ出演しています。



9.アンディの裁判の検察官役=ジェフリー・デマン

アンディの裁判の検察官役=ジェフリー・デマン
1947年4月25日、ニューヨーク州バッファロー生まれ。大学卒業後イギリスへ渡り演技を学びます。帰国後はオフ・ブロードウエイやロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで舞台俳優として活動。

テレビドラマで俳優デビューした後、映画「レザレクション/復活」で映画デビュー。1995年の日米合作映画「ヒロシマ 原爆投下までの4ヶ月」ではオッペンハイマー博士を演じ、寺尾聰さんらと共演します。

「ブロブ 宇宙からの不明物体」以降「ショーシャンクの空に」を含めて、フランク・ダラボン監督の作品にはほとんど出演しています。近年では映画「アマランス」「マーシャル 法廷を変えた男」「アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち」ドラマ「ブラックリスト」「グッドワイフ」「ウォーキング・デッド」などに出演しています。



10.刑務官役=ネッド・ベラミー

刑務官役=ネッド・ベラミー
1957年5月7日、オハイオ州デイトン生まれ。UCLAを卒業した後、当時俳優仲間であったティム・ロビンスと共にThe Actors’ Gangを設立しました。

1990年に「Fatal Charm」で映画デビュー。「ショーシャンクの空に」では出演シーンは少ないですが、人の良さそうな刑務官の役を演じています。

その後「ユニバーサル・ソルジャー」「エド・ウッド」「チャーリーズ・エンジェル」などで脇役として活躍します。またドラマでも「キャッスル ミステリー作家は事件がお好き」「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」などに出演しています。

なお、兄のマーク・ベラミーは2003年から2006年までケニアにおいてアメリカ大使を務めていたそうです。


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