現在、コロナウィルスが蔓延して騒動となっていますが、世界で最も恐れられているウィルス感染病と言えば、「エボラ出血熱」ですね。主にアフリカ中央部の ザイール (現在のコンゴ)やスーダン、などで発生し、村全体が犠牲となっています。
およそ1週間の潜伏期間があり、突然の発熱・頭痛・筋肉痛などの症状が出て、嘔吐や下痢などを伴います。その後、播種性血管内凝固症候群という血液が体中で凝固してしまう症状が出て、穴という穴から出血をします。その後ウィルスに侵された臓器は融解して多臓器不全となり死に至ります。
致死率は良くても50%、一番高かった村では90%にも及んでいます。
アウトブレイクで発症するウィルスは、モターバウィルスと言って、実際には確認されていない架空のウィルスですが、エボラを何十倍にも強力にした、正に死神クラスのウィルスで、致死率は100%。発症すると必ず死に至るという最強ウィルスです。
監督であるウォルフガング・ペーターゼンさんは、未開拓地を人間の都合の良いように次々と開拓し、ジャングルで密かに生きているウィルス達を呼び覚ますような人間の行為に、警鐘を鳴らしていたのではないでしょうか。
とにかく目が離せないストーリー展開となっていますので、是非一度観賞してみてはいかがでしょうか。
あらすじ
ストーリーは、1967年のザイールから始まります。モターバ川流域で内戦に参戦していた傭兵たちが、原因不明の伝染病にかかり瀕死の状態にありました。
原因を探ろうと視察に訪れたアメリカ陸軍の士官たちは、その光景に驚いて患者から血液を採取すると、気化爆弾を投下して村全体を壊滅させます。

その出来事から28年余りが経った時、モターバ川流域の村で原因不明の疫病が発生。村人がほぼ全員死ぬという感染病が発生し、アメリカ陸軍感染症医学研究所に所属しているダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)率いるLEVEL4研究チームが赴くことに。
現地に到着して現場を見て回りますが、生きている人間は村の医師と、村人から一線を画している祈祷師のみでした。
帰国したダニエルズは、事の重大さを上司であるフォード准将(モーガン・フリーマン)に報告しますが、取り合ってくれません。それと同時に、アフリカから1匹のサルが密輸入され、アメリカのシーダー・クリークという町のペットショップに売ろうとしたジンボという若者は、結局売れずにサルを町から外れた森林に放します。
しかし既に、感染は始まっていました。まず、密輸入したときに乗せた船の乗組員がサルの世話をしていたこと。また、そのサルを売ろうとしたジンボが、サルに唾をかけられて感染者になったこと。そして・・・
こんな風な経路でウィルスは徐々に牙をむいていきました。


最初にサルから感染したのは、サルをアメリカに持ち込んだ密輸船の乗組員で、船から降りることなく再び航海に出たので、感染経路は絶たれました。
しかし、密売人のジンボは、売れなかったサルを車で運ぶ途中で、サルに唾をかけられて感染。サルを逃がして飛行機で帰路に就き、飛行場で待っていた恋人とキスをして二次感染しました。ジンボが空港で倒れたため恋人と共に病院へ行きます。
病院では血液検査を受けますが、検査士のドジな振る舞いにより、ジンボの血を顔に浴びるという失態を犯してしまいます。検査士には持病があったため、ウィルスはそれが原因でさらなる進化を遂げます。

感染経路が無茶ぶりすぎる
この検査士が、検査技師にあるまじき失態を犯してしまうという無茶な構成に、思わず爆笑したくなりました。もう少し脚本を変えるとリアル感がもっと出たかもしれません。
また、違う視点で観れば、恐らくこうしてはいけないという悪い見本みたいなものを理解してほしくて、敢えて脚本を書いたと理解できるかもしれません。
エボラ出血熱は本来空気感染はなく、感染者の体液や嘔吐物、糞便などに接触して移る接触感染です。しかしウィルスは様々な環境で変化をする生き物。この映画では、原株に感染した血を浴びた検査技師が喘息であったため、ウィルスが遺伝子の影響を受けて空気感染する病原体に変異してしまったと設定されています。

映画“アウトブレイク”から見えてくるパンデミックの実態
言うならば、“アウトブレイク”は、最悪のウィルスと最悪の感染経路を描いた、世にも恐ろしいパンデミックと言えます。映画だからこそ半ば楽しんで観ていられますが、これが現実となった場合、人間は果たしてどんな行動をとるのでしょうか。
現在騒がれているコロナウィルスでさえ、マスクの買い占めで品切れ状態が続き、買い占めたマスクを100倍以上の値段でネット販売している輩が横行していますね。
また、動画ではアジア人を差別するような行動に出る人も見受けます。これがエボラクラスのウィルスになったらと考えると、そら恐ろしくなるのではないでしょうか。
実際、アウトブレイクが公開された1995年には、ザイール(現コンゴ)でエボラ出血熱が流行し、94名の感染者が確認され、内84名が死亡しています。この時の致死率は92%ということです。
更に、同じ時期にアメリカのキクウィトでは144名の感染が確認、そのうち108名(75%)の人が命を落としています。

リチャード・プレストン原作の『ホットゾーン』がヒント
アウトブレイクは、1994年に出版されたリチャード・プレストン原作の『ホットゾーン』をヒントにした作品であることは間違いありません。実際ホットゾーンを映画化する企画が当時進められていましたが、進展はなく取り止めになり、オリジナル作品のアウトブレイクを制作。
ナショナルジオグラフィックでは2019年に『ホットゾーン』という現代のままミニテレビドラマシリーズで放送されています。監督はリドリー・スコット、キャストに『ER』や『グッドワイフ』のジュリアナ・マルグリースをはじめ、リアム・カニンガム、トファー・グレイス、ノア・エメリッヒなどを迎え、2014年の西アフリカエボラ出血熱流行もストーリーに加えた内容となっています。
1989年、エボラウイルスが初めてアメリカに襲来した時の実話小説をドラマ化した #ホットゾーン
— ナショナル ジオグラフィック TV (@natgeotv_jp) October 11, 2019
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放送は10月15日(火)22時よりスタート。#エボラ #エボラ出血熱 #パンデミック #国立感染症研究所 #ウイルス #実話 pic.twitter.com/jCVbDhDMse
アウトブレイクのキャスト

1.サム・ダニエルズ大佐役:ダスティン・ホフマン

2.ロビー・キーオ役:レネ・ルッソ

3.ビリー・フォード准将役:モーガン・フリーマン
バイオグラフィーはこちら
4.ケイシー・シュラー少佐役:ケビン・スペイシー

5.ソルト少佐:キューバ・グッディング・Jr

6.ドナルド・マクリントック少将役:ドナルド・サザーランド

7.ジンボ役:パトリック・デンプシー

8.ブリッグス大佐役:デイル・ダイ

9.大統領補佐官役:J・T・ウォルシュ
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